土地活用のノウハウ

マルで囲んだ部分は、B・C共に植栽を植えるくらいしかできないスぺース。考え方を変えれば、たとえどちらかが売却され、家の建て替えが行われても、眺めが保証される空間です。

視線がより遠くへと誘導されるためのスペースを互いに共有でき、閉塞感を感じさせません。

Aの土地は角地で２方が開けているので良いとして、B・Cの土地は隣接する周囲の家のあり方に環境を左右されます。ならば、周囲の変化に影響を受けにくいような条件を作ってしまおうというアイディアによる分割案です。

仮にB・Cいずれかを売却し、新しい所有者が建て替えを行ったとしても、家を建てる位置も形状も、あまり変えようがありません。つまり、隣り合う家々の間には一定のゆとりの空間が保たれ、景色や日当たりなどが大きく変化してしまうようなことが起こり難い。環境の変化で資産価値が損なわれるリスクを少なくしているのです。 

■　敷地の魅力を引き出す発想力

元々大きな邸宅があった土地が４分割して売却され、最後に一番条件の悪い土地が売れ残っていました。この土地に賃貸事業を成功させられる住宅を企画し、売却へと結び付けられないだろうか、というご相談をいただいてスタートしたプロジェクトです。

土地は接道部分が敷地より2.5メートル程も低く、敷地延長の長い旗竿状の変型敷地。さらに敷地の２方は隣家の高い擁壁に、残る２方も隣家の壁にはばまれた、まるで谷底のような環境。不利な条件が重なった土地でしたが、傾斜地ならではの風通しの良さという魅力があり、周囲を高く囲まれているという環境も、静かで落ち着いた空間を演出できると判断。また、長い敷地延長部分も、２台の車が駐車できるスペースとして活用するアイディアが生まれました。このように、短所と思われる部分を長所に変える発想で、充分魅力的な住まい創りが可能だとご提案。外国人エグゼクティブや富裕層をターゲットとした賃貸住宅としてプロデュースしました。

完成した住宅は、採光も通風も充分な、快適空間を秘めた住まい。外から眺めたのでは想像もつかない開放感あふれる空間創りに、驚きの声をいただいています。

更地のままでは買い手のつかなかった土地ですが、不利な条件など微塵も感じさせない魅力的な住宅が誕生しました。予定通り外国人エグゼクティブ向けの賃貸物件として活用中ですが、ご見学いただいた方からは「購入したい」との声も多数いただきました。